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カラージャービル [ペット]

今日は毛のカラーについてお話しましょう。
メンデルの法則はご存知でしょうから、基本知識として色の生成だけさらっとお話しておきます。

毛の根元にメラノサイト(melanocyte)という細胞がいて、出来たメラニン(melanin)を毛母細胞に渡し毛の中に色素を蓄積していきます。
メラノサイト内にはメラノソームという器官があり、その内部でメラニンが作られています。
メラニンには茶系のフェオメラニン(pheomelanin)と黒系のユーメラニン(eumelanin)があり、その割合で色味が変わってきます。

色の遺伝子.jpg
毛色を決める遺伝子はイヌでよく調べられています。その遺伝子は何々シリーズ(-locus)と言う名称で呼ばれていて、多くの動物種でよく似た発現をしますので基本として参考になります。

よく聞かれるアルビノという状態は、カラーシリーズという遺伝子の働きが全くない状態を示していて、色を生成する過程の一番上位にあるため、全くの無色(白色)という毛色を発現します。

アグーチシリーズはもっとも基本的な遺伝子型で、黒いユーメラミンの生成を阻害するように作用し、お腹側の薄い毛色を発現します。
エクステンション、ブラック、ブラウンシリーズはそれぞれ別個に黒いユーメラニンの生成に作用し、茶、黒などのベース色を担っています。

ダイリューションシリーズはメラニン色素の凝集にかかわる遺伝子型で、色の濃さを担っています。

スポットシリーズはメラニン細胞の分化にかかわる遺伝子型でぶち柄を生成しています。
ティッキングシリーズはティッキングマークを、マールシリーズはダップル斑を、ハルクインシリーズはマールシリーズと共に働きハルクインを発現します。

さて、我がジャービル君たちはどうなのでしょうか?
ブラックパイド(Black Pied)というのは、
腹部も濃色なのでアグーチシリーズが劣勢で発現し、スポットシリーズの遺伝子型によりぶち柄になったものです。
スポットシリーズは不完全優勢なのでクリ(黒が多い方)はミスカラー程度に、ナムはパイボールド(真にPiedということ)程度に発色したのでしょう。(遺伝子型の発現があるなしではなく、量的に変化します)

よく言われるセルフ(Self)とは、腹部も同色なのでアグーチシリーズが劣勢で発現している状態を示します。

イヌで不明の遺伝子型で、ジャービルにはグレイシリーズ(Grey locus)という型が存在するらしいです。
と思ったら、イヌにも存在して若齢で白髪を引き起こす遺伝子として報告がありました。

ともに犬ですが、
Anim Genet. 2007 Dec;38(6):539-49.
Science. Oct 2, 2009; 326(5949): 150–153.
Science. Nov 30, 2007; 318(5855): 1418–1423.
などが参考になりますでしょうか。

ジャービルのカラーでは、
Journal of Heridity 79(5), 386-7.で
agouti (a), albino (ch), gray (g), pink-eyed dilution (p), white spot (Sp)の遺伝子型が
Jikken Dobutsu. 1989 Oct;38(4):337-41.で
brown (b) の遺伝子型が(これは疑問視されているようですが)
Journal of Experimental Animal Science Volume 43, Issue 4, 26 February 2007, Pages 319–327で
extension (E) の遺伝子型を報告しています。

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