SSブログ

塩水に浮かべます [線虫]

ここ何回かで動物たちに寄生する線虫の卵をご紹介していますが、
どうやって調べるのでしょう?

答えは簡単で、比重の重たい液体に浮かせて調べるのですね。
それぞれの虫卵の比重は下表のようになります。

比重
ライオン回虫(Toxascaris leonina) 1.0559
イヌ鉤虫(Ancylostoma caninum) 1.0559
犬回虫(Toxocara canis) 1.09
馬回虫(Parascaris equorum) 1.0969
猫回虫(Toxocara cati) 1.1005
豚回虫(Ascaris suum) 1.1299
豚鞭虫(Trichuris suis) 1.1299
犬鞭虫(Trichuris vulpis) 1.1453
条虫(Taenia sp.) 1.2251
旋尾線虫(Physaloptera sp.) 1.2376

ED David ‎1981、Evaluation of a modification of the dada technique・・・によります。

で、使われる水溶液は、

比重
MgSO4(450g MgSO4+1,000ml water) 1.2
ZnSO4(331g ZnSO4+1,000ml warm water) 1.18-1.2
NaNO3(338g NaNO3+1,000ml water) 1.18-1.2
NaCl(350g NaCl+1,000ml water) 1.18-1.2
Modified Sheather’s Solution
(454g sugar+355ml water+6ml formaldehyde)
1.27

といった具合です。

使い方は、1g程度の便を試験管にいれ、水溶液を加えて攪拌、
5分間の遠心分離後、表面張力で試験管から盛り上げ20分静置し、
表面の液体をカバーグラスにとって検査します。

簡易法では、遠心分離せずに表面張力で盛り上げた所にカバーグラスを置き、
15分静置して検査しますが、この方法では T. vulpis.などの検出が出来ない可能性があるとのことです。
Vet Ther. 2005 Spring;6(1):15-28.によります。

もちろん、比重の重たい虫卵は、それより比重の軽い液体では検出できないのはいうまでもありませんね。
実際はぜんぜんわからないのではなく、みつけづらいということらしいですが、
検査で見つかった場合には「いた」と言えるのですが、
見つからない場合には「いない」と言い切れる性質の検査ではありません。

さらに、通常、病院で使用されるのは、飽和食塩水(比重1.2位)か、
硫酸マグネシウム加食塩水(比重1.23位:水1,000ml+食塩290g+硫酸マグネシウム185g)ですので、
旋尾線虫卵の検出は出来ないのでしょうね?

たかが検便、されど検便、というお話でした。

nice!(41)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 41

にほんブログ村 教育ブログへ

コメント 2

ligia

へぇ、比重で!
言われてみれば、なるほどなるほど。。。
by ligia (2015-01-26 15:31) 

dumbo

ligiaさま、こんばんは。
そのほかにもいろいろあるようですが、今でも昔ながらの方法を使っているようです。
シンプルイズベストなんでしょうね。
by dumbo (2015-01-26 17:51) 

コメントを書く

お名前:
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました