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コンプレックス? アピカル+コンプレックス [アルベオラータ(繊毛虫以外)]

今日は、前回の発育名が複雑で、チンプンカンプンなので、その辺りの解説です。


前出のコクシジウムなどの原虫はApicomplex(アピコンプレックス)と呼ばれているのだそうで、
これは、apical-complex(天辺を束ねたといった独特の構造)から由来します。
べつに、頭の髪の毛が薄くなって気にして・・・ではありませんねぇ。
International Journal for Parasitology 39 (2009) 153–162.によります。

構造を図示しておきましょう。
アピコンプレックス.png
トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)のタキゾイト(tachyzoites)の様子です。


さて、アピコンプレックスたちの仲間の成長段階は3つに分かれます。
スポロゾイト(sporozoite)、メロゾイト(merozoite)、ガメントサイト(gametocyte)です。

その間にタキゾイト(tachyzoite)、ブラディゾイト(bradyzoites)があり、
(ガメントサイト以外はほとんど似た形状なので、上図がこの虫たちの基本形ということですね)
卵みたいな、シスト(cyst)、オーシスト(oocyst)を含む場合があります。


トキソプラズマを例にとってご説明しておきましょう。
アピコンプレックスライフサ.png
トキソプラズマは、上図のような生活を送っています。

無性生殖は、「~ゾイト」と呼ばれる状態の細胞が分裂し、
 (感染した動物の白血球の中で増殖して様々な臓器へとたどり着き、シストを作るといった場合・・・)
有性生殖は、「~ガメントサイト」と呼ばれるものが接合し、最終的にオーシストを作る場合をいいます。

Clin. Microbiol. Rev. April 1998 vol. 11 no. 2 267-299.によります。
そのほかの、アピコンプレックスもだいたいこんな感じですね。


トキソプラズマが有性生殖を行えるのは猫に寄生したときのみですので、
猫科の動物の寄生虫ということになるのでしょうか。

本来はオーシストをネズミが食べて、そのネズミを猫が・・・といったサイクルを行っています。
前回お話したように、人も猫の標的ってわけではないのでしょうが、感染しますね


コクシジウムは前にご紹介しましたのでそれ以外の仲間を作表しておきましょう。

Plasmodium Theileria Toxoplasma Cryptosporidium
感染部位 肝臓 白血球 白血球
メロゾイト メロゾイト タキゾイト メロゾイト
最終感染細胞 赤血球 白血球 多臓器細胞 腸細胞
ガメントサイト ピロプラズマ ブラディゾイト マクロ・ミクロガメントサイト
有性生殖 ダニ 多種
スポロゾイト スポロゾイト スポロゾイト スポロゾイト

Genome Research 19.7 (2009): 1202–1213. が詳しいでしょうか。

Plasmodiumはマラリア原虫として有名ですし、そのほかもほとんどが寄生を生業としている生物です。
では、本日はこの辺で。

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