SSブログ
エクスカバータ(ユーグレナ以外) ブログトップ

ムチをふるのが得意です 無色のミドリムシ [エクスカバータ(ユーグレナ以外)]

良く目にするのですが、透明なミドリムシさんです。
ペラネアや、ヘテロネマという形が一般でしょうが、この方はどなたなのでしょう?


体が堅そうですね。

しっかし良く動く鞭毛です。

光が足りなくて葉緑体が消失(退色)しただけって事かもしれませんね?
どうなのかなぁ???

nice!(15)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

夜光虫 光る水ふうせん [エクスカバータ(ユーグレナ以外)]

赤潮のお話から、夜光虫の話題がTVでやっていました。
それから、数年前?に撮影した夜光虫の写真を探していたのですが、
やっとsalvageされたのでご紹介です。

初めに採取した場所です。
七里ヶ浜付近でしょうか?
江の島.jpg
夜景がきれいなところですね。


肝心の夜光虫は
夜光虫01.jpg
Noctiluca scintillans?で合っていますでしょうか?

暗視野では、
夜光虫02.jpg
となって、まさしく水風船です。


水でふくれているので、お仲間である、渦鞭毛虫のウズオビムシには見えませんね。

かろうじて、
いっぽんのすじが、鞭毛の通り道を示しているのでしょうか?
ちなみに渦鞭毛虫には縦横に鞭毛があり、こんな風に泳ぎます。


夜光虫.jpg
水が抜けると?他のすじが目立ってきます。
(上の方とは違う方です。子供?食べたもの?が入っているのでしょうか?いびつな感じですね。)


こんな生物が光るなんて不思議ですよね。


発光の原理は、ホタルと同じく、ルシフェリン(光る物質)、ルシフェラーゼ(光らせる酵素)と呼ばれますが、
これらは総称で、ホタルルシフェリン、渦鞭毛虫ルシフェリンと違った物質です。
遺伝子的にも違っているそうですから、独自に進化したようです。

光を放つ渦鞭毛虫は他にもたくさんいますが、渦鞭毛虫に限るとどれも単一の起源らしいです。


皆さんのお写真を拝見すると綺麗な青ですね。
どうもdumboは光りものが苦手で写真が撮れないのです。修業が必要でしょうか?
うーん。


蛋白質核酸酵素 32 10 1987 1234-1249。と
化学と教育 64 巻 8 号(2016 年)372-375。が総説でしょうか?
日本藻類学会創立 50 周年記念出版 52-53。に渦鞭毛虫の発光について若干の説明がありました。

偏西風はずーっとふいています [エクスカバータ(ユーグレナ以外)]

別に風のお話ではないのですが、偏性と通性のお話です。

今日は、偏性寄生性生物(寄生しないと生きていけない生物)のお話です。
対して、通性とは、しなくても何とかOKということです。

まえに、なぜ寄生虫は寄生するのかといったことを少しお話いたしましたが、
原虫(鞭毛虫)の仲間に限っては、
寄生せざるを得ない(寄生しないと生きていけない)といった方たちがおられます。
(線虫にもそういったことがあるのかもしれませんね)

細胞の膜を形成する物質は、リン脂質(二重層ですね)という生命にはなくてはならないものです。

前出のトリコモナスさんは、
その脂質を合成できないために外部から吸収しないといけません。
大方の場合、寄生した他の生物の体の細胞を溶かして(おもに赤血球だそうですので溶血ですね)、
その物質を頂戴するわけです。

ところが、ジアルジアさんはというと部分的に脂質を合成できるらしいのです。
以前は全く出来ないと考えられていたのですが、通常の生物とは違った形で合成可能とのことです。
Parasitology. 2011 March ; 138(3): 267–278.によります。

さて、いずれにしても部分的にしか合成できないために、
生きるためには寄生せざるを得ないという状況なのでした。
うーん、なんというサガなのでしょうか・・・

合成経路を示すと、下図のようになるでしょうか。
脂質の合成.png
チンプンカンプンの名称が出てきますが、要は赤の部分がネックとなっているようです。

Plasmodium、Toxoplasma、Leishmania、Trypanosoma、Giardiaなどの原虫についてで、
Prog Lipid Res. 2013 October ; 52(4): からのお話でした。

モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、餃子 [エクスカバータ(ユーグレナ以外)]

鞭毛虫のお仲間、餃子みたいな形のトリコモナスさんです。
トリコモナス000.jpg
鞭毛と波動膜をうにうにと動かしていますね。
結構激しい動きなのでわかりづらいですか?
トリコモナス002.jpg
犬の便からのもので、腸トリコモナス(Pentatrichomonas hominis)さんでしょうか。
この方は、以前ご紹介した、繊毛虫のキクリディウムと、鞭毛虫のアニソネマを足して2で割ったような体をしています。

染色するともうちょっと構造がわかりやすいですね。
トリコモナス01.jpg
図示すると、
トリコモナス.png
前の鞭毛(flagella)の数によって、Tritrichomonas(tri-、3本)、Tetratrichomonas(tetra-、4本)、
Pentatrichomonas(penta-、5本)の3種類にわかれます。(ですが大体ですので、例によって・・・)
それ以外の、形はどれもよく似ています。
Br J Vener Dis. 1940 Jul; 16(3-4): 113–144.によります。

さて、ひとの性感染症を引き起こすトリコモナスは、Trichomonas vaginalis(膣トリコモナス)で、
毛が3本なのですが、tri-はわざわざ付けられていないようです。

その他に人では、腸トリコモナス(Pentatrichomonas hominis)や、
口腔トリコモナス(Trichomonas tenax)がありますか。
腸トリコモナスはペットからも感染しますし、ペットにもうつりますので注意が必要ですね。
(症状が出ないことが多いので、どちらからなのかはわからないのですけれど)

古い報告ではありますが、口の中に、Trichomonas tenaxが17歳以上の7%に見られたとのことですので、
誰にでもいるのかも知れません。
うーん・・・
長崎医学会雑誌 第29巻第12号 952-957頁.によります。

前にご紹介した、ジアルジアさんとは遠い親戚ではありますが、形はぜんぜん似ていないですよねぇ。

見つけたら届け出てないとねっ [エクスカバータ(ユーグレナ以外)]

今日は、動物(人も含む)に寄生する原虫(鞭毛虫)のなかま、ジアルジアさんです。

ジアルジア02.jpg
腸に寄生する鞭毛虫のなかま、ジアルジア=ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)です。
写真は犬の便を染色したものです。

さて、この方の名前は、はなはだ混乱していまして、一種なのか、一属なのか、
また、ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)で正しい名前なのか?Giardia intestinalisなのかホニャララです。

しかし実際には、5類感染症の一部として指定されている、届け出が必要な重要な感染症なのですね。
なので、「患者が発生するたび、診断した医師が、最寄りの保健所に届け出てください」といった具合です。

細かい形状は、フクロウの顔の面をかぶったヒトダマの様で、
顔の下から数本の鞭毛を生やしています。
ジアルジア01.jpg
大きさは上の写真の様な感じですね。
ライトギムザ染色をしているので、目玉(核)が二つ見えます。

鞭毛をムチのようにではなく、波のように動かして泳ぎ回ります。
おもに、お面の下の数本の鞭毛で前進し、左右の鞭毛で舵取りをするといった感じになります。
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Aug 23;108(34):E550-558.に泳ぎ方の解説が、
PLoS Negl Trop Dis. 2011 Dec;5(12):e1442.にお面の解説がのっていますね。

お面の構造は、ventral disc microtubule arrayと呼ばれる、
微小な繊維を土台とした、層状の膜が、パルミエ(Palmier Pie)のような形で吸盤状になっています。
ジアルジア.png
お茶目な顔をしているのですが、人にもうつりますのでご用心を。

さて、厚生省によると、診断は便、十二指腸液、胆汁の、
1)顕微鏡下でのジアルジア原虫の証明
2)酵素抗体法又はイムノクロマト法による病原体抗原の検出
3)PCR法による病原体の遺伝子の検出
のいずれかによるので、写真の様な虫をみつけたら、1)にあたりますね。

繰り返しになりますが、全数報告対象(5類感染症)で、
診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届け出なければならないのですが、
一般の方が見つけても届ける必要はないのでしょう?
まあ、万一、見つけたら医師にご相談された方がいいでしょうね。

嚢子(卵みたいなもの)は丈夫ですので、きっちり消毒してもなかなか感染力を失いません、
なので根絶はこれまた厄介なのでした。
元気な人は厄介になることはあまりないようですが・・・

エクスカバータ(ユーグレナ以外) ブログトップ