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鞭毛モーター、って永久機関?細菌 [その他(全ての生物)]

では、細菌の鞭毛モーターを見てみましょう。
(真核生物の鞭毛とは違うのでいつも迷ってしまいますね。)

Cite this article as Cold Spring Harb Perspect Biol 2010;2:a000299.や
PNAS December 11, 2012 vol. 109 no. 50 20643–20648.や
PNAS August 27, 2013 vol. 110 no. 35 14390–14395.によると。
直径60~80nm(0.06~0.08μm)くらいで、
泳ぐ速度は 300 μm/s以上とのことです。

Biophysical Journal Volume 68 April 1995 163s-167s.によると
90~400Hzの回転数で、トルクは30pNらしいです。
24000rpmってすごいですよね。


だいたいの形は下図です。
鞭毛モーター2.png
上から、外膜:OM、ペプチドグリカン膜:PG、細胞膜:CMです。

上の二枚の膜には軸受があり、LリングとHリング、PリングとTリングがそれぞれベアリングのように機能します。
(緑の部分です)

その下の細胞膜部分にモーターがあり、MSリング(ダイダイ色)と、Cリング(青)、
細胞膜にあるMotA,Bあるいは、PomA,B,とかPomX,Yとかいう名前の装置(ピンク)からなります。
この部分は細菌の種類、属、株によって構成が異なる部分ですね。

このMotA,BはH+、PomA,B,とかPomX,YはNa+やその他のイオンが透過することにより構造が変化して、
ラチェット機構としてモーターとして機能するとのことです。

PNAS June 23, 2015 vol. 112 no. 25 7737–7742.からです。



ラチェットと聞いて、何か思いつきませんか?

そう、ブラウンラチェットモーターです。

ブラウンラチェットモーター1.png
こんな感じに、分子のブラウン運動を、モーターの動きに変える、
いわゆる永久機関?ですね。

どうなのでしょう?本当に機能するのでしょうか?


鞭毛の動きには、規則正しい運動と、ランダムな運動が知られていますので、
このランダムな運動(逆に規則的な方?)はもしかしたら、ブラウンラチェットによるものかもしれません。

Cリングの、ラチェット部分(上の報告の動力として機能する部分)は上段の方で、
その下段が大きく広がっているのです。

意味もなく広がっているのは不自然ですよね。
やはりここが分子が衝突するところなのでしょうか???
この分子が衝突するかもしれない、
部分の分子数(上のギザギザのもと)は報告によっても違いますが、20~26個とのことです。

信じるか信じないかは・・・



そうそう、このラチェット部分は固定しているわけではなく、動作をする時にだけ集合してくるとのことです。
鞭毛モーター集合.png
さらに、ブラウンラチェットな感じがしてくるのは私だけでしょうか?

Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Sep 16;111(37):13523-8.からです。



追加)上の参考のBiophysical Journal Volume 68 April 1995 163s-167s.によると、
温度によって回転数が違うのです。
11.2, 16.2, 22.6°Cで、90, 140, 290Hzといった具合です。

うーん永久機関かぁ~○×△
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コメント 3

ワンモア

こうしてみると生物も無機質の機械も似てくる感じですね^^;
by ワンモア (2016-01-10 11:50) 

dumbo

ワンモアさま、ナイス、コメント、ありがとうございます。
どこからが、生物なのかというのは教科書では当たり前ですが、
本当のところどこからなのか、全く解りません。
探せば探すほど遠のいてしまう命題なのでしょうね。
by dumbo (2016-01-10 11:55) 

dumbo

https://sciencechannel.jst.go.jp/D047001/detail/D077001049.html
に鞭毛の作られ方の解説がありました。
よろしければどうぞ。
by dumbo (2016-01-10 12:26) 

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