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ずれて並びました セネデスムス Scenedesmus [緑藻]

イカダモ(セネデスムス:Scenedesmus)さんです。
イカダモ2.jpg

前回の方は真直ぐ綺麗に並んでいましたが、こちらは互い違いに並んでいます。
デスモデスムスさんもイカダモと呼んでいましたが、現在はこちらの方を、イカダモというようですね。

前回のかたの方がいかだに似ているような感じがするのは私だけでしょうか?
では、よい一日を。

仲良く並びました デスモデスムス Desmodesmus [緑藻]

今日は水の中に戻って、細胞が並んだ方のご紹介です。
イカダモ.jpg
デスモデスムス(Desmodesmus)さんです。

イカダモ3横.jpg
横から見るとこんな感じに並んでいます。(上の方とは違った方です)

イカダモ1.jpg
なかには、8個並んだ方もおられますね。

テレピン油、リモネン、メントール、そしてボツリオコッセン? [緑藻]

ピレノイドは、デンプンの合成に関わっていましたが、今日は油についてです。

植物の産生する油(炭化水素)の中では、
イソプレン:CH2=C(CH3)CH=CH2、からなるテルペン (terpene)とよばれる多種の物質が知られています。
油絵の基材であるテレピン油(松の油)、みかんなどのリモネン、ハッカ油のメントール・・・
などあげればきりがないほど存在しています。

前出の、ボツリオコッカスさんが産生するボツリオコッセン(Botryococcene)という油もまた、
テルペン(トリテルペン)の一種なのですね。
Microviol.Cult.Coll.26(1):1-10.2010.によります。

さて、この合成経路は、
動物たちのコレステロールを合成するメバロン酸(MVA)経路であると考えられていたのですが、
現在では植物独自?の非メバロン酸(MEP)経路であるということがわかっています。
Nat. Prod. Rep., 1999,16, 565-574.によります。

細胞質で合成されるメバロン酸(MVA)経路と、葉緑体で合成される非メバロン酸(MEP)経路の、
二つの経路はわかってきたのですが、
残念ながらなぜ油を溜め込むのか?といった疑問についての答えはまだ解明されていないようです。

うーん、やっぱり不思議がいっぱいですね。

追加、
光が増加すると、MEP経路が活発化し、MVA経路が抑制されるといったことなど、
外的要因がそれらの調節に関わっているとの話がありました。
(ストレスとかが関係するのでしょうか?不確かではありますが・・・)
また、その2つの経路には交流する部分があるようです。
Mol Plant. 2012 Mar;5(2):318-33. doi: 10.1093/mp/sss015.からによります。

ピレノイド、どんな形? [緑藻]

ピレノイドはCCM(炭素濃縮機構)として役立っているだろうことはお話いたしましたが、
全ての緑藻たちにあるわけではなく、その形も千差万別です。(もちろん数も)

その違いによっていろいろと分類されているわけです。

ピレノイドの周囲のデンプン質の殻の有無と、ピレノドを貫通するチラコイド(Thylakoid)膜の有無による、
細長い方たちの分類がありましたので、ご紹介しておきましょう。

starch envelope ピレノイド貫通チラコイド
Ankistrodesmus bibraianus + +
Ankistrodesmus fusiformis - +
Ankistrodesmus gracilis + -
Ankistrodesmus stiitatus - +
Kirchnerela aperta + +
Monoraphidium braunii + +
Monoraphidium dybowskii + -
Monoraphidium neglectum - -
Monoraphidium terrestre - +
Podohedriella falcata - -
Quadrigula dosterioides + +

Journal of Phycology Volume 37, Issue 5, pages 852–865, October 2001.からになります。
(ピレノドを貫通するチラコイドはCO2(結合した物質?)を輸送する経路ではないかと考えられています。)


また、ピレノド自体の形状も詳しく調べられています。

以下は、クラミドモナス(Chlamydomonas)に対するものですが、
Bulletin of Plankton Society of Japan Vol,32,No.2,pp.111-123,1985.では、A~Fの7種類。
Russian Journal of Plant Physiology.Vol.47,No.5,2000,pp.655-659.では、
Ⅰ~Ⅴで、Ⅲが2つに分かれているので6種?に、
それぞれ分類されています。

この形状の違いによる機能についてはまだ解っていないことが多いようですね。

では、今日はこのへんで。

ピレノイド、何処? [緑藻]

緑藻はほぼ全員、葉緑体を持っています。
その中に「ピレノイド(pyrenoid)」という構造を持つものがいるのですが、
これが苦手で、そこにあるでしょといわれてもなかなかわからないのですね。

といって無視をすることも出来ませんので、今日はそんな構造のお話です。

ピレノイド.png
前出のクアドリグラ(Quadrigula)さんの写真を見るとこんな感じです。
(核の上の方かもしれません、うーん難しい)

しばしばstarch envelopeとよばれる、でんぷん質の殻に囲まれています。
写真では粒々?としていたり、ヨウ素液で染色すると紫色に染まるので解りやすいかもしれません。

何をしている器官なのか長いことなぞだったのですが、
ルビスコ(Rubisco)と呼ばれる酵素の凝集したものということが判明しています。

この酵素によって、
CO2が固定され、炭素が5個の物質から、炭素が3個の物質2個(=炭素6個)へと変換されていくのです。

光合成.png
お話だけではわかりづらいので、光合成反応を図示しておきましょう。

さて、ここが面白いところ?なのですが、この酵素は光を必要としません。
生物の授業で暗反応として勉強されたかたはご存知ですよね?

実際には、間接的に光によって反応が促進されるため、光がないと反応が進まないようですが、
光合成のきもといわれるCO2の固定がなんと、
光なしにおこなわれているとは、なんて不思議なのでしょうか。


こんな便利な酵素なのですが、欠点がいくつかあって、その一つが酸素とも反応してしまうということです。
そのため、多くの植物では、二酸化炭素を濃縮する行程が組み込まれています。
それを、CCM(炭素濃縮機構:CO2 concentrating mechanism)といっていて、
植物の種類によって異なった行程として知られています。
(全くない方や、有名どころではトウモロコシのC4とかご存知だと思います)

このピレノイドが、CCMに関係しているのでは?と考えられているわけです。

Journal of Experimental Botany, Vol. 64, No. 3, pp. 769–786, 2013.からのお話でした。
(報告はクラミドモナスによるものですが基本部分は同じと思われます)

続、プールが油田 [緑藻]

アンキストロデスムス(Ankistrodesmus)さんもまた、油を産生する緑藻として知られています。

The International Journal of Biotechnology 2(1):42-51.によると、
その質量の29%もの油がとれるとのことです。
(窒素分を減らすとさらに油が増えるとのことです)

大体、1週間で栽培?出来るのでこちらもかなり有望視されて、
前におはなしした、ボツリオコッカス(Botryococcus)さんなみに油を産生できるようです。

油の種類(ヘキサンとエタノールで抽出される混合物:修正しました)から、
バイオディーゼル燃料としての利用が期待されています。

さて、その他の微生物を探してみますと、
Ankistrodesmus、Botryococcus、Chaetoceros、Chlorella、
Chlorococcum、Crypthecodinium、Dunaliella、Ellipsoidion、
Euglena 、Haematococcus、Isochrysis、Monodus、Monallanthus、
Nannochloris、Nannochloropsis、Neochloris、Nitzschia、
Oocystis、Pavlova、Phaeodactylum、Porphyridium、Scenedesmus、
Skeletonema、Spirulina、Thalassiosira、Tetraselmis・・・
そうそうたる面々です。

さて、その小さい方々の能力が気になるところですので、調べて見ますと、

Seed oil content
(% oil by wt in biomass)
Oil yield
(L oil/ha year)
Land use
(m2 year/kg biodiesel)
Biodiesel productivity
(kg biodiesel/ha year)
Corn/Maize (Zea mays L.) 44 172 66 152
Hemp (Cannabis sativa L.) 33 363 31 321
Soybean (Glycine max L.) 18 636 18 562
Jatropha (Jatropha curcas L.) 28 741 15 656
Camelina (Camelina sativa L.) 42 915 12 809
Canola/Rapeseed (Brassica napus L.) 41 974 12 862
Sunflower (Helianthus annuus L.) 40 1070 11 946
Castor (Ricinus communis) 48 1307 9 1156
Palm oil (Elaeis guineensis) 36 5366 2 4747
Microalgae (low oil content) 30 58,700 0.2 51,927
Microalgae (medium oil content) 50 97,800 0.1 86,515
Microalgae (high oil content) 70 136,900 0.1 121,104

トウモロコシなどに比べ、微細藻類(Microalgae)の単位面積当たりの効率といったら・・・一目瞭然ですね。
(バイオディーゼルとしてのお話ですが)

Renewable and Sustainable Energy Reviews 14 (2010) 217–232.からのお話でした。

束ねてネジって・・・ アンキストロデスムス Ankistrodesmus [緑藻]

細胞がだんだん増えて、あつまります、
集まっただけでは前回の方のように、バラケてしまいますので、
アンキストロデスムス5.jpg
見事にネジって束ねてますね。

アンキストロデスムス(Ankistrodesmus)さんです。

イトクズモという名前があるようですが、違った種類(Zannichellia)にもその名前があるみたいです。
どちらが正しいのかというと、後者が優勢のようです?
なのでアンキストロデスムスと呼んだほうがいいのでしょうね。

さて、この方は変異に富んでいて、その形は様々なものがあります。
アンキストロデスムス.jpg
こんな形に若干バラケて、トゲトゲだったりもします。

形によって分類されていますので、作表しておきましょう。

細胞の形 集まり方
Ankistrodesmus falcatus 直、三日月 中間で結合
Ankistrodesmus fusiformis 真直ぐな細胞が放射状に並ぶ
Ankistrodesmus spiralis 湾曲、S字、螺旋 8個までの細胞が螺旋状に結合
Ankistrodesmus bernardii 8~10個の細胞が中間で結合
Ankistrodesmus densus 最低16個の曲がった細胞が集まる

Hoehnea 39(3): 421-434, 3 fig., 2012.によります。

表によると、上の写真は、Ankistrodesmus spiralisで、
下の写真は、Ankistrodesmus fusiformisですかね。
(分類はまず、形が真直ぐに近いか⇔螺旋に近いか、を基準にするようです。)

報告は日本ではないので、表は当てはまらないかもしれません?

ササの葉さーらさら クアドリグラ Quadrigula [緑藻]

丸い方たちのご紹介が一通りすみましたので、細長い方たちのご紹介です。

クアドリグラ.jpg
クアドリグラ(Quadrigula)さんです。

ふつうは、4本のササの葉(笹かまぼこ?ささみ?)状の細胞を持ち、
1~16個の細胞を持つ亜型?があるようです。

刺さってしまいそうですが、
透明の構造(mucilaginous envelopes)に包まれているみたいなので、その心配は無用のようです。

緑藻とトレボウクシアは隣り合わせ [緑藻]

さて、緑藻とトレボウクシアのお仲間をご紹介してきましたので、先へと進む前に分類樹の再確認です。

以下は、2004年の時の遺伝子系統樹ですので、トレボウクシアさんと、緑藻が微妙な関係になっています。

イトクズモ(Ankistrodesmus) Ankistrodesmus Ankistrodesmus モノラフィディウム(Monoraphidium) クアドリグラ(Quadrigula) Monoraphidium Podohedriella Monoraphidium Monoraphidium キルクネリエラ(Kirchneriella) イカダモ(デスモデスムス:Desmodesmus) イカダモ(セネデスムス:Scenedesmus) ネオクロリス(Neochloris) アミミドロ(Hydrodictyon) ブラクテアコックス(Bracteacoccus) ボツリオコッカス(Botryococcus) コナヒゲムシ(Chlamydopodium) Protosiphon Haemotococcus シオヒゲムシ(Dunaliella) ホルモチロプシス(Hormotilopsis) カエトペルチス(Chaetopeltis) Planophila トレボウクシア(Trebouxia) Myrmecia ディクチオクロロプシス(Dictyochloropsis) ワタナベア(Watanabea) ミクロタムニオン(Microthamnion) Fusochloris Choricystis クロレラ(Chlorella) ナノクロルム(Nanochlorum) 緑藻綱 トレボウクシア藻綱 Chlorophyceae Trebouxiophyceae
これからすると、ボツリオコッカスさんは緑藻になってしまいますが、近縁のお仲間なので、
あまり深く考えずに近い仲間なのかなぁって思っておきましょうか?

Acta socie Botani polo Vol.73,No.1:39-46,2004.からのお話でした。

前にもご紹介した?真核生物(Eukaryota)の正確?な分類は今のところ、
Journal of Eukaryotic Microbiology Volume 59, Issue 5, pages 429–514, September 2012.が、
スタンダードらしいので、そちらをごらんください。

インバージョン、再び [緑藻]

さて、今日も少し前に戻って、ボルボックスのお話です。

以前ボルボックスは体を反転させるというお話をいたしました。

その反転の仕方に、いろいろあるようで、現在のところ、A型、B型とよばれるものがあるようです。

以前ご紹介した頂点から細胞の変形と移動が始まるものをA型といい、
中央から始まるものはB型といって区別されます。
(どちらも、頂点から裂けるのは変わりませんが。)




図示するとこんな感じでしょうか、
細部については参考をご覧下さい。すごく綺麗な絵で解説されています。
(実際には底が上に持ち上がり平たくなるのですが、
細胞の数が全然足りてないので出来ませんでした。すみません)

BMC Biology 2011, 9:90と、
BMC Biology 2011, 9:89からのお話でした。

A型と、B型の中間のAB型や、Bより下のC型なんていうのもあるのでしょうか?
たぶんAB型はあるのでしょうね。生物がそんなにきっちり分かれているとは考えられませんからね。
血液型みたいにO型とかはどうなのでしょう・・・

では、よい一日を。
(おっと、もうすぐ明日でしたね。)

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