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お菓子 クンショウモ Pediastrum [緑藻]

クンショウモ(Pediastrum duplex)です。
クンショウモ2.jpg
この形が皆さん見慣れているでしょうか?
つのが二つでフタヅノクンショウモとか、デュープレックスって言うそうです。

私はスナック菓子に見えてしまってしょうがないのですが・・・全然って言われてしまいました。
美味しいですよねス○ン。

クンショウモ1.jpg
こんな形もクンショウ藻と呼ぶようです。なまえは○×△です・・・

こちらは、お菓子のコイン、エー○コインでしょうか?
これも美味しいですね。

では、つまみながら・・・

追加)クンショウモの横が撮影できましたのでご紹介です。7/17
クンショウモ横.jpg

一番シンプル? [緑藻]

クンショウモ(Pediastrum simplex)さんです。
クンショウモ3.jpg
2人写ってますが、大きいほうですね。

各細胞にツノが一つなので、ヒトヅノクンショウモ、シンプレックスと呼ばれています。
勲章というより、☆でしょうか?

すごく小さいので、撮影は意外と大変です。


さて、これからが単純ではないのですが。
遺伝子的な分類がなされるうちに、クンショウモたちが以前のように単純には分類されないようになりました。
良くあることで、単一の系統とすると無理、とのことらしいですね。

このツノが一つの方は、Monactinusという属名が与えられ、Monactinus simplexと呼ばれるようです。

Hydrobiologia (2012) 698:295–326.からのお話でした。

その他に、Lacunastrum、Monactinus、Parapediastrum、Pediastrum、Pseudopediastrum、
Sorastrum、Stauridiumの名前があがっているようです。

分類って難しいですねぇ。

銀も作ります [緑藻]

バリウムや、ストロンチウムのお話が続きましたので、
今日は少し前に戻って、イカダモ(セネデスムス:Scenedesmus)さんのお話です。

この方は、銀を濃縮することが知られています。

これには、硝酸を亜硝酸に還元する、
硝酸レダクターゼ(NADH-dependent nitrate reductase)という酵素がかかわっているとのことです。

生成した、銀ナノ粒子(silver nanoparticles:AgNPs)は抗菌活性がありますのでいろいろと利用できそうですね。

Journal of Nanoparticles Volume 2014 (2014), Article ID 689419, 6 pages.からのお話でした。


さて、いいものには落とし穴があって、銀ナノ粒子ですが、いろいろ悪さもするようで、
YAKUGAKU ZASSHI 134(6) 723-729(2014)によると、
粒子の大きさが小さいほど毒性?が増加するとのことです。

いろんなところで銀が使われているので、どうなのでしょうか?
難しいですねぇ。

では、この辺で。

最後はニスでピッカピカ [緑藻]

今日はwartsとrosettsを配置している、sporopolleninic layerについてのお話です。

植物細胞の表面の模式図です。
細胞壁の構造3.png
細胞壁(cell wall)のお話は以前しましたので、今日は最外層のcuticleについてみてみましょう。

このキューティクル(cuticle)は髪で有名ですね、まあ植物にもあるということで・・・用語は難しいですね。

さて、これは脂肪酸のポリマーからなる物質の構造体で、cutin, suberin, sporopolleninが知られています。
一番詳しく調べられているのはcutinで、これはトマトやその他の植物の、
ツルツルとした感触として知られる部分でしょうか。(表層はワックスで守られるのでそれもありますが)

機能としては、乾燥や病原からのバリアーを担っているとのことです。

成分は、ギターなどの楽器で使われるセラックニス(shellac varnish)にも含まれる物質からなるとのことです。
セラックはカイガラムシらしいですが、木の表面にも存在しているのですね。

このcutinの構成成分の一つである、Aleuritic酸には自己集合(self-assembly)する機能があり、
かってにアモルファスあるいは二重層を形成するとのことです。

なんとも、便利な物質を利用しているのですね。

Trends Plant Sci. 2008 May;13(5):236-46.にcutinとsuberinのお話が、
Phys. Chem. Chem. Phys., 2010,12, 10423-10428.に自己集合のお話がありました。

今日も、よい一日を。

結構複雑です [緑藻]

さてだいぶ回り道をしましたが、Desmodesmusさんの外観のお話です。

Desmodesmus.png
特徴的な、突起(poles)と、微細なコブ(warts)、短い筒が集まったrosettsがあります。
この付属物は種ごとに違っていて同定の目安とされていますが、
栄養の違い等により、かなり変異が激しいとのことです。

報告によると、突起の形成には鉄分が関係しているらしく、
全く無いと形成されず、少量の場合には短くなるそうです。

wartsとrosettsはヘミセルロース(細胞壁)の外、
sporopolleninic layerと呼ばれる最外層に形成されるとのことです。

これらは、光学顕微鏡でも何となく見えるようですね。

Algae(The Korean Journal of Phycology)Vol 12(4):235-246,1997.と、
Annals of the Romanian Society for Cell Biology;2012, Vol. 17 Issue 1, p16.からのお話でした。

何のためにあるのかは、うーんわかりません。
(すみません)
では、また。

カッチカチ [緑藻]

細胞壁をつかさどる終末は、カチカチのもとであるリグニン(lignin)によってなされます。
これは、細胞壁のセルロース、ヘミセルロースの隙間を埋めて固めるボンドのようなもので、
まえのFRPの例えでは、エポキシやウレタン樹脂に相当しますね。

緑藻では、Science,245,399(1989).にリグニン様物質の報告がありますが、
これは疑問視されているみたいです?

さて、いろいろな植物でリグニンを分類しますと。

リグニン
紅藻 -
緑藻 -
車軸藻 -
苔類 -
蘚類(ミズゴケ) -
ツノゴケ類 -
アグラオフイトン類
リニア類
ゾステロフィルム類
ヒカゲノカズラ類 H・Gリグニン
イワヒバ類 S・H・Gリグニン
ミズニラ類
シダ類 H・Gリグニン
裸子植物 H・Gリグニン
被子植物 S・H・Gリグニン

のようになるでしょうか。
前の表とは紅藻が異なっていますがまあそういうことはよくあるといいうことで?

リグニンの合成では、前駆物質からですが、Hリグニン→Gリグニン→Sリグニンのように反応が進みます。
この例では系統樹にマッチしているでしょうか?

New Phytologist (2010) 187: 273–285.からのお話でした。

横糸は種類がいーっぱい [緑藻]

縦糸ともいえるセルソースの繊維は数種しかないのですが、
横糸はヘミセルロースだけでも多くの種類があり、そのほかにもいろいろな種類があります。
(伸びる方向がセルロースに直行しているので、縦、横が逆?)

下は細胞壁成分の表です。

セルロース キシラン マンナン キシログルカン RGII (1→3),(1→4)-β-Dグルカン AGPs リグニン シリカ
褐藻 + ± ± - -
珪藻 ± +
紅藻 + + + - ± + -
緑藻 + + + + + - -
車軸藻 + + + ± - + - -
コケ植物(コケ、苔類、およびマツモ) + + + + ± - + - +
ヒカゲノカズラ + + + + + - + -
トクサ + + + + + + + + +
シダ + + + + + - + -
裸子植物 + + + + + - + + -
被子植物(イネを除く) + + + + + - + + -
イネ + + + + + + + + +

いやーいっぱいですねぇ。(下記参考のコピペですみません)

系統樹を進んでいく?とだんだん種類が増えてくるようです。

Plant Physiology June 2010 vol. 153 no. 2 373-383.からのお話でした。

では、いい一日を。

六打紐 [緑藻]

組みひも.jpg
組みひもの機械ですね。
順番に駒が入り込む様は見ていて飽きませんね、今日はそんなお話です。

下は、セルロース合成複合体部分の模式図です。
セルロースの合成.png
セルロース合成酵素複合体は、1本のセルロースを合成する部位が、6本組み合わさり、
さらに、それぞれが六つ合わさって繊維束を形成します。

回転こそしませんので、交差はしていないようですが、素晴らしい構造です。
分子レベルの組みひも機械で、この大きさではヒトは真似すら出来ません。
なので、いまだに最高の紙は植物から作られるのですね。

ここまでされてしまうと、何らかの力が働いて(神?)いるとしか思えないというのは言い過ぎでしょうか?

Nature. 2013 January 10; 493(7431): 181–186.と、
Nat Rev Mol Cell Biol. 2005 Nov;6(11):850-61.からです。

妄想はさておいて、

上図は一般的な植物のセルロース合成についてですが、いろいろな生き物で異なっています。
で、系統樹と組み合わせると、下のようになります。
セルロースの系統樹.png
系統樹はアバウトですし、形状は代表的なもののみ図示しました。
結構いろいろな形状があるようです。
(原索動物はおそらくホヤであると思われます。→うーん動物でも細胞壁があるのですね。
いずれお話しするかもしれませんが、ホヤの細胞壁は他の生物から遺伝子を頂戴したものらしいです。)

数や形によって進化の過程がわかるわけではないところがまた不思議です。
ホヤの例もありますしね。

顕微鏡 Vol.34,No.2(1999),81-86.と、
顕微鏡 Vol.43,No.1(2008),35-39.からのお話でした。
では、この辺で。

プレジャーボート [緑藻]

前回の続きで細胞壁のお話です。

細胞は常に内壁からの圧力によって、膨れる方向に力がかかっています。
細胞壁の構造2_1.png
こんな感じで、
そしてそれを押しとどめるのが細胞壁というわけですね。

前回お話したセルロース(cellulose)の繊維がその膨張を引き止めています。
細胞壁の構造2.png
そしてヘミセルロース(hemicellulose)部分の構造が伸びて?最終的な大きさを決定しています。
(ヘミセルロースにはいろいろ種類があって、末端が結合したりと様々ですね)
何所がどれだけ伸びるかはセルロース・ヘミセルロース全体の、量や、長さ、配列によるのでしょう。

さらに、そのセルロースと、ヘミセルロースの間にいろいろな物質が入り込み細胞壁を固めて完成です。
この伸びている間の細胞壁を一次細胞壁、固まった後の細胞壁を二次細胞壁と呼んでいるようです。

さながら、繊維強化プラスチック:FRP(Fiber Reinforced Plastics)といったところでしょうか?
素晴らしい構造です。

Science 24 December 2004: Vol. 306 no. 5705 pp. 2206-2211.からのお話でした。
では、よい一日を。

始めはチューブでしょ? [緑藻]

お久しぶりでした、dumboです。
暑いですねぇ、やっぱTUBEってわけではないのですが、

ツヅミモさんのあの独特の形状はどのようにして作られるのかを調べているうちに、
どんどん面白いところが出てきてしまい、
このままいくと、ブログを更新できない気がしてきましたので・・・
一人で楽しむのもなんですので途中経過的で申し訳ございませんがそのお話です。


さて何所からはじめますか・・・
ツヅミモさんは緑藻ということですから、まずは細胞壁の形作られかたから進めましょう。


植物の細胞壁はセルロース(cellulose)からなるというのはご存知と思います。
セルロースはデンプンの高分子に良く似ていて、デンプンの単糖が1つおきに反転した構造ですね。

セルロースを合成する部分はかなり理解されてきて、細胞膜にあるCSC(cellulose synthesis complex)とか、
セルロース合成酵素複合体とか、ターミナルコンプレックス(TC)とか呼ばれる構造体により合成され、
細胞膜の外へと繋がっていきます。

そのセルロース繊維の束の並び方によって、形状が決定され、
ばらばらの時は全体に広がるように、
平行して並ぶと(面白いことに直行方向に成長らしいですね)細長く細胞が成長します。

では、その並び方のもとは何か?というのが今日のきもで、
表層にある微小管:CMT(cortical microtubules)の並びで決定されているのでは?ということです。

図示するとこんな感じでしょうか(ほとんど下記参考そのままですが)
細胞壁の構造.png
細胞膜直下の微小管に沿って、セルロースを合成する酵素の集合体が配置されるとのことです。

もちろん、例外もあるようですので、今後の報告が待たれるところですが、
微小管は動物細胞などでも、骨格を担う構造決定分子ですので、その延長線なのでしょう。

どちらが先というと、●×△なのですが・・・

New Phytologist (2010) 185: 369–385.からのお話でした。

久しぶりですがお付き合い頂いている方には、感謝、感謝、感謝です。
では、また。

追加)
Trends Plant Sci. 2012 Nov;17(11):666-74.に
微小管に、cellulose synthesis complexが付着する様子が図示されていました。
ご興味がおありの方はご覧下さい、きれいな図ですよ。

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