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め、で・は・な・い・が、光を感じます。センサリーロドプシン(Sensory Rhodopsin) [その他(全ての生物)]

眼について詳しく考える前に、ずーっと昔?、細菌のお話から始めましょう。

以前、鞭毛モーターのお話をいたしました、その時のお話を思い返します。

MSリングと、Cリングというものが鞭毛の基部にあります。
このリングのうちCリングが駆動力のきもだろうというのはお話しました、

さて、このCリングはFliG、FliM、FliNという3種のたんぱくからなる複合体です。(MSリングはFliFからなる)
これらはスイッチ複合体ともいわれ、構造が変化することによって鞭毛の駆動を調節しています。
(MSリングは土台ということ)
くわしくは生化学 第83巻 第9号,pp.822―833,2011がいいでしょうか。


ある種の細菌は、光によって動きを変化させることが知られています。


それを左右しているのが、センサリーロドプシン(sensory rhodopsin)、SRⅠ、SRⅡという蛋白です。
くわしくふれるとややこしいので、要点をかいつまむと、

SRⅠは橙と紫外線を、SRⅡは青い光によって、活性化?し
CheY, CheZ, CheW, CheA, etc.という連続する反応により鞭毛の動きを操作しています。
Sensors 2010, 10(4), 4010-4039;によります。

このうち、CheYはCリング:スイッチ複合体に直接作用します。
Bioessays. 2006 Jan;28(1):9-22.からです。

日本語では、
バイオメカニズム学会誌,Vol. 35, No. 4(2011)、
生化学 第86巻第2号,pp.160―166(2014)が良いでしょうか。


もういっぱいいっぱいですので、図示しましょう。
鞭毛モーター-光好性.png
Ⅰが時計回転、Ⅱが反時計回転でしたでしょうか???


分子マイクロマウスと言ったところでしょうか?ねっ

眼ではなくても、光を感じて動きを操作できるというお話でした。

最小の注射ポンプ。バクテリオファージT4、bacteriophage T4 [その他(全ての生物)]

そのほかのモーターを見る前に、もっと小さき者達の巧妙なからくりを見てみましょう。


ウイルスと言えば、正20面体のようにきっちりしたものがありますが、
中には変わりものもいて、素晴らしい装置を持っている者がいます。
(若いころはウイルスと、ヴィールス:ビールスの違いが分からずにいたものでした、笑)

バクテリオファージ(bacteriophage)さんです。
T4ファージ.png
細菌に感染するのでそんな名前ですが、
その中のT4は上のようにあし(突起?)、が生えています。


この付け根には、からくりがあって、
ファージmove.gif
こんな感じに動くのですね。よっこらしょって上に伸びるのは誇張です。

6本の脚が、基盤部分のストッパー(青色)を外し、内筒を保持しているカギを開きます。

内筒は、外筒のエネルギー(たぶん弾性力)によって、
文字通りチュウシャの針のごとく送り出されます。

送り出された内筒はその先端の部分を細菌の細胞壁に突き刺して、
中心の穴を通ってDNAを注入するのですね。


痛くない注射針よりさらに細いので、感じることすらできないでしょう、
DNAの注入に特化した機械ですね。

(この針は完全に貫通するのではないようです。
また、細菌にDNAを注入するのは圧力とか、細菌が勝手に吸い込むとかいろいろ言われていますね。
穴の開け方は上の図の様な感じであっていると思いますが・・・)


さらにこの先端には、分解酵素であるリゾチームの爆弾?が3個付けてあり、
当たった衝撃で活性化し、細胞壁に穴をあけるのを手伝っています。
(バクテリオファージの仲間にはリゾチームを持っていない方もおられます)


いやあ、いまさらながら生命の仕組みには驚かされてます。
あっ、ウイルスは生物ではありません?でしたね。
では、

Virol J. 2010 Dec 3;7:355. doi: 10.1186/1743-422X-7-355.からのお話でした。


隙間を作ってはめ込みます。F1-ATPase [その他(全ての生物)]

どうして合成するのに回転するかで、前日の続きです。

Science 333, 755-758 (2011). によると、

βユニットと、αユニットの隙間にATP、ADPが結合するとのことで、
隙間を作るためにγユニットが回転するのではないかと考えられそうです。
そのため、γ:ガンマユニットはカムのようにヒシャゲた構造をしているようです。

(参考は、中心のγユニットが無い状態でATPを結合させると、
2種6個のユニットが歪むようすが示されています。→合成とは逆の分解ですね)


で、図示してみましょう。
F1ATPase_move.gif
黄色がADPで、紫色がATPですね。
軸は360°で1周期ですが、合成を中心として考えると120°で1周期?でしょうかね。
(参考はADP+Pi→ATPですので、あくまで私の想像図ですが)



回転を合成に変換する見事な仕組みでした。


ところで、H+が10個で、3ATPが合成可能な感じですが、これでOKなのでしょうか○×△?


そうそう、ミトコンドリア1個につき10,000個以上あるそうです。
細胞1個につきミトコンドリアが10個と少なめに見積もって、
体の中に、3.72 × 10^13個の細胞がありますので、
1×10^4 × 10 × 3.72 × 10^13 個ものマイクロモーターを我々は日夜回し続けているのですね。

(3.72×10^18 = 3720京個!  あってるかな?)

体細胞数は、Annals of Human Biology Volume 40, Issue 6, 2013.に出ていますね。
タグ:ATPase

10連リボルバー、F1-ATPase [その他(全ての生物)]

さて、回転して機能するものと言えば、ATP合成酵素も回転しているのですね。

構造を図示すると、
F1ATPase.gif
こんな感じです。

上側をF1、下をF0と呼んで、
F0部分が回転して、中心棒のγ-unit(橙色)を回します。
回転した、ガンマユニットはαβ、2種6個の部品からなる、F1部分のβ-yunit(赤色)でADPとリン酸を結合しATPを作ります。

F0の緑色の部分がC-ringと呼ばれ、H+イオンで駆動するモーターとなっています。
Cring.gif
細かく見ると、上図の様な感じで、取り込んだ水素イオン(H+)が結合した反動?を利用して、
回転する仕組みだそうです。

Biophysical Journal Volume 86 March 2004 1332–1344.からのお話でした。


ここで、面白いのは、ATPを合成するF1の部分だけを取り出して、ATPを加えると、
軸のγユニットが回転するのですね。

可逆的な、モーターなのです。

Nature. 1997 Mar 20;386(6622):299-302.からです。



ブラシモーターも軸を持って回転させると発電することができますが、
化学的な結合をつかさどるモーターも反対の反応を引き起こすことが出来るわけです。

面白いですよね。

上のモーターもATPが多いと、H+を反対方向に移動させることが出来るかもしれませんね。
では。


そうそう、前の鞭毛モーターも効率が100%近いですが、こちらのモーターも100% 近いとのことです。
すごいモーターですね。速さはこちらが断然早いらしいです。
ところで、なんで合成するのに回転するのでしょうね?不思議。
タグ:ATPase

拝啓、アインシュタインさま。 [その他(全ての生物)]

前日の続きです。
ブラウン運動といえば、やはりアインシュタインの関係式でしょうか?
E=m×C×C、があまりにも有名ですが、拡散係数に関係する公式も残しています。


D=R×T/(6×π×μ×a×NA)

拡散係数:D は、気体定数:R、絶対温度:T、溶媒の粘性:μ、微粒子の直径:a 、アボガドロ数:NA
π:は言わずと知れたパイです。
とした式ですね。



Dの拡散係数は、
移動距離の平均である標準偏差:σと、時間:tで表せて、
   ___
σ=√2×D×t

となります。(σ×σ=2×D×t → D=σ×σ/(2×t))

アインシュタイン26歳の奇蹟の三大業績、からです。
(実際にはその前に式を完成させた方がおられるようですが、アインシュタインの関係式と呼ぶのですねぇ)


さてここで、二つの式をあわせて、

1/t=2×R×T/((6×π×μ×a×NA)×(σ×σ))

1割る時間、すなわち周期(Hz)は、
温度に比例し、粒子の大きさと移動した距離の2乗に反比例、するわけですかね?
(あってますでしょうか?)



そんなこんなで、ブラウンモーターかどうかが確認できそうな感じがするのですが、
いかがでしょう。
永久機関なのかなあ?ワクワク・・・変?


すみません文字ばかりで、
なにせ面白いものですから・・・


真夜中なので寝ることにしましょう(すでに朝でしたね?)

鞭毛モーター、って永久機関?細菌 [その他(全ての生物)]

では、細菌の鞭毛モーターを見てみましょう。
(真核生物の鞭毛とは違うのでいつも迷ってしまいますね。)

Cite this article as Cold Spring Harb Perspect Biol 2010;2:a000299.や
PNAS December 11, 2012 vol. 109 no. 50 20643–20648.や
PNAS August 27, 2013 vol. 110 no. 35 14390–14395.によると。
直径60~80nm(0.06~0.08μm)くらいで、
泳ぐ速度は 300 μm/s以上とのことです。

Biophysical Journal Volume 68 April 1995 163s-167s.によると
90~400Hzの回転数で、トルクは30pNらしいです。
24000rpmってすごいですよね。


だいたいの形は下図です。
鞭毛モーター2.png
上から、外膜:OM、ペプチドグリカン膜:PG、細胞膜:CMです。

上の二枚の膜には軸受があり、LリングとHリング、PリングとTリングがそれぞれベアリングのように機能します。
(緑の部分です)

その下の細胞膜部分にモーターがあり、MSリング(ダイダイ色)と、Cリング(青)、
細胞膜にあるMotA,Bあるいは、PomA,B,とかPomX,Yとかいう名前の装置(ピンク)からなります。
この部分は細菌の種類、属、株によって構成が異なる部分ですね。

このMotA,BはH+、PomA,B,とかPomX,YはNa+やその他のイオンが透過することにより構造が変化して、
ラチェット機構としてモーターとして機能するとのことです。

PNAS June 23, 2015 vol. 112 no. 25 7737–7742.からです。



ラチェットと聞いて、何か思いつきませんか?

そう、ブラウンラチェットモーターです。

ブラウンラチェットモーター1.png
こんな感じに、分子のブラウン運動を、モーターの動きに変える、
いわゆる永久機関?ですね。

どうなのでしょう?本当に機能するのでしょうか?


鞭毛の動きには、規則正しい運動と、ランダムな運動が知られていますので、
このランダムな運動(逆に規則的な方?)はもしかしたら、ブラウンラチェットによるものかもしれません。

Cリングの、ラチェット部分(上の報告の動力として機能する部分)は上段の方で、
その下段が大きく広がっているのです。

意味もなく広がっているのは不自然ですよね。
やはりここが分子が衝突するところなのでしょうか???
この分子が衝突するかもしれない、
部分の分子数(上のギザギザのもと)は報告によっても違いますが、20~26個とのことです。

信じるか信じないかは・・・



そうそう、このラチェット部分は固定しているわけではなく、動作をする時にだけ集合してくるとのことです。
鞭毛モーター集合.png
さらに、ブラウンラチェットな感じがしてくるのは私だけでしょうか?

Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Sep 16;111(37):13523-8.からです。



追加)上の参考のBiophysical Journal Volume 68 April 1995 163s-167s.によると、
温度によって回転数が違うのです。
11.2, 16.2, 22.6°Cで、90, 140, 290Hzといった具合です。

うーん永久機関かぁ~○×△

容量が100MBを超えました。 [その他(全ての生物)]

       あけましておめでとうございます
P1040160.JPG
申年ということでやはりこの方にご登場お願いしました。
その眼光の先にはなにがあるのでしょう?未来を見据えているのでしょうね。
(以前の記事はこちらです)

ブログを初めて、そろそろ500日です。
昨年度もひき続き、たわいもない話題にもお付き合いいただいたようで、ご訪問下さった皆様、ありがとうございました。
ちまちまと画像の容量を調整してきたのですが、とうとう増量申請をすることとなりました。
ブログの容量が尽きたとかお話を聞くと、皆さんすごいなぁと思ってしまい、まだまだ新米と思わずにはいられません。

(個々の記事にて、できる限り正確な情報をお伝えしようと心がけておりますが、
お気づきの点がございましたら、何なりとご指摘ください。3人寄れば文殊の知恵と申しますので。)



ナイスを頂いてお返しを出来ていない皆様にはこの場をもってお詫びいたします。申し訳ございませんでした。

                  本年度もよろしくお願いいたします。      dumbo
タグ:さる 動物園 Z00

切っても、切っても、プラナリア [その他(全ての生物)]

ついでですので、再生といえばプラナリアさんでしょうから、
親戚というか、そのものズバリのウズムシ(Turbellaria)さんです。

池の中では、教科書で見かけるイカの耳の様な形ではなく、
そうではない形の種類をよく目にすることができます。
ウズ虫.jpg
この方は、別に切らなくても上のように、途中から新しい顔が出来てきていますね。
親子みたいですかね?

体中に繊毛が生えてますので一見すると、昨日のスピロストマムさんに似ていますが、
ウズ虫1.jpg
こちらは多細胞ですので、全然別の生き物なのでした。

大きさは前のかたより全然小さいのですが・・・

では、このへんで。

鼓膜がスピーカー [その他(全ての生物)]

さて、カエルの声についてお話してきましたが、
よくみると口を閉じていますよね。

どこから音が出ているのでしょう?

実は面白い報告があって、耳から音が出ているらしいのですね。

全てではないのでしょうが、そうらしいです。

音の元は声門(glottis)で、肺と口の中を空気が行き来して音が生じます。
カエルの声.png
そして鼓膜から響いた音が出ているのですって。
面白いですねぇ。

うるさくないのでしょうか???

J Comp Physiol A. 1997 Nov;181(5):438-45.からのお話でした。

では、よい一日を。

耳小骨、ウシガエル [その他(全ての生物)]

今日は、ウシガエル(Bullfrog)さんの耳小骨(Ossicles)のおはなしです。

哺乳類では、
槌骨 (つちこつ、Malleus)、砧骨 (きぬたこつ、Incus)、鐙骨 (あぶみこつ、Stapes)からなりますが、
非哺乳類脊椎動物は、ツチ骨とキヌタ骨を欠いているそうです。

とはいえ、ウシガエルではアブミ骨が複数あり、大きく分けて2個(実際は3個?)からなります。
カエルの内耳.png
上図のような感じですね。
さらに、アブミ骨の卵円窓側に小さな内アブミ骨(Pars interna)があるようです。
(extrastapesが外アブミ骨かどうかは不明ですが、一応そんな名称にしておきました。)


これらの骨は鼓膜からの音の振動を卵円窓(oval window:fenestra ovalis)に伝える働きをしています。
カエルの内耳2.png
こんな感じに振動を増幅しているそうです。

最後に卵円窓が内耳につながっており、音を感じるというわけです。

The Journal of Experimental Biology 205, 3153–3165 (2002).からのお話でした。

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